投稿日：2023.2.4

舌癖とは？正しい舌の位置と歯並びに与える影響、治し方を徹底解説

「舌癖を詳しく知りたい」
「正しい舌の位置ってどこになる？」

 

上記のようなお悩みはありませんか？
顔の印象や歯並び、実は舌癖が影響しているかもしれません。

 

無意識に舌を前歯に押し当てる「舌癖」は、出っ歯や噛み合わせの乱れだけでなく、顔のラインや表情にも関わります。
放置すると、矯正後の後戻りや発音の不明瞭さにもつながることもあるのです。

 

本記事では、舌癖のセルフチェック方法や放置すると起こりうるリスクを解説します。
簡単にできる改善トレーニングも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

舌癖とは？

舌癖（ぜつへき）とは、食事や会話、飲み込みのときに舌を無意識に前歯の方向へ押し出す癖を指します。
本来、正しい舌の位置は上あごに軽く触れている状態ですが、舌癖があると舌が下の方に下がったり、前歯を押したりしてしまうのです。

 

このような舌の習慣は自分では気づきにくく、知らないうちに歯並びや噛み合わせに悪影響を与える可能性があります。
舌で前歯を押し続けることで、出っ歯（上顎前突） や 開咬（奥歯を噛んでも前歯が閉じない状態） を引き起こす原因になることも少なくありません。

 

さらに、舌癖は矯正治療の効果にも影響します。
歯列矯正で歯並びを整えても、舌癖が残っていると再び歯を押してしまい、後戻りのリスクが高まるのです。

そのため、舌癖を改善して正しい舌の位置を習慣化することは、歯並びを長期的に安定させるためにとても大切だといえるでしょう。

舌癖のセルフチェック法

舌や口の使い方に違和感がある人は、舌癖を持っている可能性があります。
特に以下の項目に当てはまる場合は注意が必要です。

• 口が常に開いている、または口呼吸をしている
• 舌先が上下の前歯に触れている
• 飲み込むときに舌で歯を押してしまう
• 無意識に舌を前に出している
• 滑舌が悪い、発音が不明瞭になる

 

上記に当てはまる場合、舌癖によって歯並びに悪影響を与えている可能性があります。
特に「前歯に舌が触れる」習慣は、出っ歯や開咬の原因になりやすいため、早めに改善を意識することが大切です。

舌癖を引き起こす5つの原因

舌癖は、舌の位置や口の使い方に関わる原因によって引き起こされます。
ここからは、舌癖を引き起こす原因を詳しく解説していきます。

低位舌（ていいぜつ）

舌癖の大きな原因の一つ目は、低位舌です。
低位舌とは、舌が下あごに沈んでいる状態を指します。

 

本来、舌は上あごに密着しているのが正しい位置ですが、低位舌だと前歯を押しやすく、出っ歯や受け口など歯並びの乱れを引き起こす可能性があります。
さらに、気道が狭くなることでいびきをかきやすくなるなど、健康面への悪影響も見逃せません。

口呼吸

口呼吸も舌の位置を下げてしまい、舌癖を悪化させる原因になります。
鼻呼吸のときは自然と舌が上あごにつきますが、口呼吸では舌が下がり「低位舌」を招きます。

 

その結果、前歯を押すクセが定着し、歯並びや噛み合わせが乱れる可能性が高まるのです。
また、口呼吸は口の中を乾燥させ、虫歯・口臭・感染症のリスクを上げる点でも注意が必要です。

指しゃぶり

指しゃぶりを長く続けると、舌の位置や筋肉バランスが崩れ、舌癖の原因になります。
特に3～4歳を過ぎても習慣が続く場合、前歯を押し出して出っ歯や開咬を引き起こす可能性があります。

 

歯並びは、舌・唇・頬の筋肉のバランスで保たれているため、指しゃぶりが長期化するとそのバランスが崩れ、舌癖が定着してしまうのです。

異常嚥下癖（いじょうえんげへき）

飲み込むときに舌を前に突き出してしまう癖（異常嚥下癖）も、舌癖と直結しています。
正しい嚥下では舌全体が上あごに密着し、上下の歯が軽く接触した状態で飲み込みます。

 

しかし、舌が前方に出ると前歯に力が加わり、噛み合わせが乱れる可能性が高くなるため、注意が必要です。
毎日の食事や飲み込みの動作で繰り返されるため、歯並びや舌の使い方に大きな影響を与えてしまいます。

短い舌小帯（ぜつしょうたい）

舌小帯が短いと舌が十分に上がらず、正しい舌の位置を取れないため舌癖を引き起こします。
舌小帯とは舌の裏側にあるヒダのことで、短いと舌を上げたときに突っ張ってしまい、ハート型に見えるのが特徴です。

 

この状態では舌が常に下がりやすく、低位舌や発音障害（サ行・タ行・ラ行が不明瞭になる）につながります。
歯並びや発音に影響を与えるため、必要に応じて治療が検討されるケースもあります。

舌癖を放置すると起こりうるリスク

舌癖は軽いクセと思われがちですが、放置すると歯並びや噛み合わせだけでなく、全身や顔の印象にもさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
ここからは、舌癖をそのままにしておくと起こりうる具体的なリスクを解説します。

歯並びの乱れが進行する

舌癖があると、舌が歯や顎に常に圧力をかけることで、歯の位置や噛み合わせが徐々に変化していきます。
大人でも前歯の突出や隙間、奥歯のかみ合わせのズレが生じることがあり、見た目の印象だけでなく咀嚼や歯への負担にも影響します。

 

特に、矯正後でも舌癖が残っていると後戻りの原因となり、歯並びの維持が難しくなります。

食べる力が低下する

舌癖によって舌や口周りの筋肉がうまく使えない状態が続くと、噛む力や飲み込む力が弱まり、硬いものや粘り気のある食品が食べにくくなることがあります。
また、嚥下の際にむせやすくなるため、食事の際の安全性にも影響が出る恐れがあるのです。

 

結果的に、栄養の摂取効率や消化の負担にもつながる場合があります。

歯列矯正をしても後戻りする可能性がある

矯正治療で歯並びを整えても、舌癖が改善されないままでは整った歯並びが再び乱れる「後戻り」が起こりやすくなります。
特に前歯が突出するタイプの舌癖や、噛み合わせを押し広げる癖は、矯正後の歯列の安定を大きく妨げます。

 

そのため、矯正治療と並行して舌の位置や使い方の改善を行うことが重要です。

発音・姿勢・口呼吸など全身に影響がでる

舌の位置や動かし方が不適切だと、言葉の発音が不明瞭になったり、口呼吸が習慣化したりします。
口呼吸が続くと口内環境が悪化しやすく、ドライマウス・虫歯・歯周病のリスクも増加するため、注意が必要です。

 

また、舌や口周りの筋肉のアンバランスは首や肩、背中の筋肉にも影響を与え、姿勢の崩れや肩こり、頭痛の原因になることもあります。

いびきや睡眠時無呼吸症候群が起こりやすい

舌が下がった位置にあると気道が狭くなりやすく、いびきや睡眠時無呼吸症候群（SAS）のリスクが高まります。
睡眠中の酸素供給が不十分になると、日中の集中力低下や慢性的な疲労、心血管への負担など全身の健康にも影響を与える可能性があります。

 

大人の場合は特に注意が必要です。

顔がたるみやすい

舌癖によって口周りや頬の筋肉のバランスが崩れると、顔の筋肉の支えが弱くなり、フェイスラインや口角のたるみが目立つようになります。
さらに、表情筋の使い方が偏ることで、老け顔の印象が強くなることもあるのです。

 

舌や口周りの筋肉を正しい位置で使うことは、美容面でも重要な要素となります。

正しい舌の位置を取り戻すためのトレーニング方法

舌癖を改善し、正しい舌の位置を取り戻すには、日常的に取り組めるトレーニングが効果的です。
ここからは、舌の正しい位置を意識しながら行う代表的なトレーニング方法を紹介します。
どれも特別な器具は不要で、自宅で簡単に始められる内容です。

スポットポジション

スポットポジションは、舌の正しい位置を体に覚えさせるための基本トレーニングです。
舌の先を上の前歯の裏側に軽く触れさせ、舌全体を上顎に密着させます。

 

このとき、舌先が丸まらないようにすることがポイントです。
毎日意識して行うことで、舌が自然に上顎に位置する感覚を身につけられ、舌癖の改善につながります。

ポッピング

ポッピングは、舌を上げる筋力を強化するトレーニングです。
舌全体を上顎に密着させた状態で口を大きく開け、舌を吸い上げて「ポンッ」と軽く音を立てます。

 

10回ほど繰り返すことで、舌を正しい位置に保つ力が鍛えられます。
特に舌が下がりやすい方や舌癖が強い方におすすめです。

ボタンプル

ボタンプルは、口周りの筋肉をバランスよく鍛えるトレーニングです。
前歯と唇の間に紐のついたボタンを挟み、奥歯を噛んだまま唇で押さえ、紐を軽く引っ張ります。

 

繰り返すことで、舌を正しい位置に保つために必要な口唇や頬の筋力を強化できるのです。
舌癖だけでなく、噛み合わせの安定にも役立ちます。

あいうべ体操

あいうべ体操は、口周り全体の筋肉を動かす運動です。
「あ・い・う・べ」と口を大きく動かすことで、舌や唇の筋肉をしっかり使い、舌の正しい位置を保つための動きをスムーズにします。

 

特に口呼吸の習慣がある方や、舌癖が原因で口が開きやすい方に効果的です。

舌回し

舌回しは、舌の柔軟性と持久力を高めるトレーニングです。
舌を上あごや歯の周りに沿わせて円を描くように回します。
左右それぞれ10回程度行うだけで、舌のコントロール力が向上し、飲み込みや発音がスムーズになります。

 

舌癖を改善しながら、顔のたるみ予防にもつながる方法です。

トレーニングを習慣化するポイント

舌トレーニングは、短期間で効果が出るものではなく、毎日コツコツ続けることが重要です。以下のポイントを意識すると習慣化しやすくなります。

 

• 時間を決めて行う
• 鏡を見ながら行う
• 少しずつ回数を増やす
• 無理せず楽しむ
• 記録をつける

 

舌の正しい位置を取り戻すトレーニングは、毎日の習慣にすることが大切です。
鏡で舌や口の動きを確認しながら、朝や夜など決まった時間に行うようにしましょう。

回数は少なめから始め、慣れたら徐々に増やすと無理なく筋肉を鍛えられます。
痛みや違和感があるときは無理せず、楽しみながら行うこともポイントです。
また、日々の記録をつけると成長を実感しやすく、続けやすくなります。

このように、時間・確認・回数・楽しさ・記録の5つを意識して続けることで、舌の正しい位置を自然に定着させられます。

まとめ

舌癖は無意識に行っていても、出っ歯や噛み合わせの乱れ、さらには顔の輪郭や表情にも影響します。
放置すると矯正後の後戻りや発音の不明瞭さにもつながるため、早めのセルフチェックが大切です。
日常で簡単にできる舌の位置や筋力を整えるトレーニングを取り入れることで、美しい口元と健康的な顔のバランスを保てます。
美容と健康の両面から意識することで、見た目の印象だけでなく噛み合わせや発声にも良い効果が期待できるでしょう。
当院では事前のカウンセリングを行っています。歯並びや舌癖に不安のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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