【歯が動く仕組み】

歯列矯正で歯が動く仕組みは「破壊と再生」です。文字だけを見ると「どうして治療なのに破壊なのか」と思うかもしれません。人間の怪我が破壊だとすれば、皮膚がすっかり傷を覆い隠す癒しは再生です。歯列矯正治療で歯を動かすことも「怪我と治癒」を想像していただくとわかりやすいのではないでしょうか。

歯が動く仕組み

歯列矯正では、ブラケットやマウスピースによって力をかけます。歯とその周囲に力がかかると、歯の根っこの周りにある「歯根膜」が収縮します。この時の力により引っ張られると刺激により新しい骨が生成され、力により歯の骨が溶けて壊れるという現象が起きます。

 

歯の骨が力によって引っ張られると、さらに骨のもとになる「骨芽細胞」が出てきます。この細胞により新しい骨が作られます。縮むと歯の周囲が狭くなるので、血管などの部位が潰され、狭さのせいで潰されてしまい、周囲を巻き込んで炎症を起こします。すると、口の中は回復のために働き出します。炎症を起こしたままでは大変だからです。口の中では歯列矯正のために破壊と再生が繰り返されるので、個人差のある痛みが付きものというわけです。

 

力の加減を歯科医師が行うことにより、骨を生成することと溶かすこと(壊すことと治すこと)というプロセスを人為的に起こさせます。それにより、ゆっくりと歯を移動させます。歯列矯正器具により無理矢理歯を動かしていると想像しがちですが、正確には力を調節することにより、人体の働きを利用して歯を動かしています。

 

【抜歯について】

治療に抜歯を伴うことがあるのは、歯をゆっくり動かして歯列を整えようとしても、スペースがなければ歯並びを綺麗にできないことがあるからです。例えばお口に対して歯が大きい方が歯列矯正をしようとすると、そのままでは歯は動いてくれません。お口の中の歯のスペースがいっぱいだからです。だからこそ抜歯によってスペースを作ります。意味もなく抜いているわけではありません。破壊と再生により徐々に歯を動かすため、また最終的に美しい歯並びにするためには必要な処置なのです。もちろんスペースの足りている方は抜歯の必要性はありません。

 

【動くスピード】

歯は一ヶ月に0.25ミリから1ミリくらいというかなりゆっくりなペースで動きます。ブラケットやマウスピースの場合、器具の摩擦力が働くため、器具による摩擦力も計算に入れながら、歯に必要以上の力をかけず、かといって弱すぎないように、長期的に見て動かしていくことになります。力を歯科医師が調節することにより口の中に破壊と再生を起こし、無理なく綺麗な歯並びになるように動かすことができるというわけです。

ブラケットやマウスピースを用い、歯科医師が適切な力の加減と抜歯などの必要な処置を行うことにより美しい歯並びになる位置まで歯を動かします。

 

 

 

歯列がなぜ歯列矯正治療によって動くのか、その仕組みを理解していただけたでしょうか。また、歯列矯正治療で行われる「抜歯」や「マウスピースの交換」といったプロセスも、歯を動かすために大切なことであると理解していただけたら嬉しいです。

 

治療でいきなり「では、抜歯します」と言われると「え!」と驚いてしまいますが、治療のプロセスと歯の動く仕組みを理解すると、少しは安心して治療を受けていただけるのではないでしょうか。「歯を抜く意味がわからない」という場合と「歯を抜く意味がわかって治療を受ける」という場合では、治療に対する不安度はかなり違ってくると思います。

 

もちろん治療開始前に、患者様の疑問にはしっかりとお答えいたします。気になることや不安なことは、どんな小さなことでも相談していただき、不安を無くして治療に進んでいただきたいと当院では考えております。