投稿日:2023.9.12
老化とガミースマイルの関係とは?歯周病が原因になるって本当?
ガミースマイルは、笑ったときに歯茎が目立つことで見た目のコンプレックスにつながるだけでなく、口腔環境や健康にも影響を及ぼすことがあります。
本記事では、老化による歯周病の進行がガミースマイルに与える影響や、生まれつきの歯の形・骨格・筋肉の発達などの主な原因を解説します。
また、治療法として歯冠長延長術や矯正、顎骨形成手術など、原因別に最適な改善方法を紹介します。
さらに日常でできる予防法も詳しく解説しているので、笑顔に自信を取り戻すための情報として、参考にしてください。
目次
老化はガミースマイルの原因になる?

結論から言うと、老化そのものが直接ガミースマイルを引き起こすわけではありません。
しかし、加齢で歯周病が進行しやすくなることで、結果的にガミースマイルを誘発する可能性があるのです。
歯周病が悪化すると、歯を支える骨や歯茎が炎症を起こし、歯がグラつきやすい状態になります。
その状態で噛み合わせの不具合や歯ぎしりといった負荷が加わると、前歯が少しずつ前方に倒れ込み、いわゆる出っ歯のように突出してしまいます。
歯周病が進行すると前歯が前方に突出し、笑ったときに上の歯茎が強調され、ガミースマイルが目立つようになるのです。
加齢で歯周病になりやすくなるのはなぜ?
加齢で歯周病のリスクが高まる要因として、以下のようなものがあります。
- 唾液の分泌量が減少し、口腔内の自浄作用が弱まる
- 免疫力の低下により細菌への抵抗力が下がる
- 長年の生活習慣(喫煙や歯磨き不足など)の影響が蓄積する
歯周病は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行しているケースが多い病気です。
そのためできるだけ早めに、定期的な歯科検診で歯周病のチェックを受けることが大切です。
ガミースマイルの原因

「ガミースマイル」とは、笑ったときに歯ぐきが大きく露出する状態を指します。
その要因は一つではなく、歯・骨格・筋肉・歯周病といった複数の要素が関わっていることがあります。
ここからは、代表的な原因を具体的に見ていきましょう。
生まれつきの歯の位置・歯冠の短さ
歯の生え方や歯の長さは、人によって異なります。
生まれつき歯が低い位置に生えていたり、歯自体が短かかったりする場合、相対的に歯茎の割合が大きく見えがちです。
そのため、笑ったときに歯茎が強調されやすくなります。
このタイプのガミースマイルは、歯自体の形態に原因があるため、歯冠長延長術など歯を長く見せる処置で改善することが可能です。
上唇を引き上げる筋肉の発達
笑ったときに唇を引き上げる筋肉(上唇挙筋など)が発達していると、通常よりも上唇が大きく上がり、歯茎が広く露出してしまいます。
上唇挙筋の発達は遺伝的な要素が関わることが多く、骨や歯に問題がなくてもガミースマイルが目立つケースです。
このような場合には、筋肉の動きを和らげる注射治療や、上唇粘膜切除術によって上唇の可動範囲を制限する方法が有効とされています。
上顎前突
上顎の骨格自体が前方に突き出している状態を、上顎前突と呼びます。
上顎前突は上顎の骨が大きい、あるいは前方に成長しすぎているために歯茎や歯が自然と露出しやすくなります。
このケースでは、単なる歯列矯正だけでは改善が難しいことが多いです。
そのため、顎骨形成手術(上顎骨切り術)と矯正治療を組み合わせることで、骨格レベルから修正していく必要があります。
歯周病による前歯の突出
後天的にガミースマイルを引き起こす大きな要因が、歯周病による前歯の突出です。
歯周病が進行すると歯を支える骨や歯茎が弱り、歯が少しずつ動きやすくなります。
さらにその状態で噛み合わせの負担や歯ぎしりが加わると、前歯が徐々に前方へ倒れ込み、結果として出っ歯のような状態になります。
この出っ歯によって笑ったときに歯茎が余計に目立つようになり、ガミースマイルを誘発するのです。
歯周病が原因の場合はまずは治療を行い、その後に歯列矯正によるガミースマイル改善を検討する流れが一般的です。
ガミースマイルがもたらすリスク
ガミースマイルは、一見すると「笑ったときに歯茎が目立つだけの見た目の問題」と思われがちです。
ところが実際には、見た目のコンプレックスだけでなく、口腔環境や健康にも影響を及ぼす可能性があります。
ここからは、ガミースマイルによって生じやすいリスクを詳しく見ていきましょう。
見た目のコンプレックスになる心理的影響
ガミースマイルは、歯茎の露出が大きいことで笑顔に自信を持てなくなる人も少なくありません。
特に「写真に写るときに笑えない」「人前で話すときに口元を隠してしまう」といった見た目のコンプレックスが、心の負担になることがあります。
この心理的な影響は、対人関係や仕事でのコミュニケーションに影響を及ぼすケースもあり、ガミースマイルを改善したいと考える大きな理由のひとつです。
虫歯・歯周病リスクの上昇
ガミースマイルで歯列が乱れていると歯ブラシが行き届きにくく、歯垢が溜まりやすいため虫歯や歯周病のリスクが高まります。
さらに、骨格性のガミースマイルなどでは口をしっかり閉じにくい場合があり、口呼吸になりやすいです。
口が乾燥すると唾液の自浄作用が働かず、細菌が繁殖しやすくなるため、虫歯や歯周病の悪化を招きやすくなります。
口臭の発生
口元を閉じにくいガミースマイルの場合はお口の中が乾きやすく、唾液による自浄作用が十分に働きません。
その結果、食べかすや歯垢が残りやすくなり、細菌の繁殖によって口臭が発生しやすくなります。
また、歯周病によって歯茎に炎症がある場合も、独特の口臭が生じる原因となります。
見た目だけでなく口臭トラブルにつながる点も、ガミースマイルを軽視できない理由のひとつです。
ガミースマイルの選び方と治療法

ガミースマイルの原因は人それぞれ異なり、歯の形・位置・筋肉の働き・骨格・さらには歯周病による歯の移動など、複数の要因が関わっています。
そのため改善を目指す場合は、原因に合わせた治療法を選ぶことが重要です。
ここからは、代表的な治療法を原因別に詳しく解説していきます。
歯の位置や長さが原因|歯冠長延長術
歯の位置や長さが原因でガミースマイルになっている場合、歯冠長延長術が有効です。
歯冠長延長術は歯茎を一部切除して歯を長く見せる手術で、歯茎の露出を抑えることができます。
注意点としては、健康な歯を削って被せ物を装着するため、歯の寿命が短くなるリスクがあることです。
ただし短期間で歯茎の露出を改善できるため、見た目の悩みを早く解消したい人に向いています。
筋肉の過剰な働きが原因|上唇粘膜切除術
笑ったときに上唇が過剰に上がる場合は、上唇粘膜切除術で改善できます。
上唇の内側と歯茎の上部を縫い合わせ、上唇の動きを制限する手術です。
傷口は唇の裏側にあるため目立ちにくく、長期的な効果が期待できます。
筋肉の過剰な働きが原因|注射による治療
筋肉の過剰な動きを抑える方法として、筋弛緩作⽤のある製剤を注射する治療があります。
注射により上唇を引き上げる筋肉の働きを弱め、笑ったときの歯茎の露出を抑えられます。
効果は3か月〜半年ほどで永続的ではないため、定期的な施術が必要ですが、手術に比べて体への負担が少ない点がメリットです。
上顎突出や骨格性ガミースマイルの改善|顎骨形成手術
骨格性ガミースマイルや上顎突出が原因の場合は、顎骨形成手術が検討されます。
上顎の骨を切って後方に下げることで、歯や歯茎の突出を改善する外科手術です。
多くの場合、手術と併せて矯正治療を行うことで、歯並びも整えつつ笑ったときの歯茎の見え方を改善できます。
骨格が原因のケースでは、矯正だけでは見た目の改善が十分に得られないことが多いです。
出っ歯や過蓋咬合など歯列不正が原因|歯列矯正
出っ歯や過蓋咬合など歯列不正がガミースマイルの原因の場合、歯列矯正が有効です。
ワイヤー矯正や裏側矯正(舌側矯正)によって前歯の位置を調整し、笑ったときの歯茎の露出を抑えられます。
骨格の問題が軽度であれば、矯正のみで改善可能です。
ただし、骨格性ガミースマイルと併発している場合は、顎骨形成手術と矯正治療を組み合わせることでより効果的に改善できます。
ガミースマイルの予防方法

ガミースマイルは、日常の習慣や口腔環境の影響で進行することもあります。
ガミースマイルを予防するためのポイントは以下の通りです。
- 歯周病予防
- 悪習癖の改善
- 筋肉トレーニング
歯周病・噛み癖・口周りの筋肉の使い方など、後天的な要因でもガミースマイルは進行します。
予防の基本は、日常生活で口腔環境を整え、習慣や筋肉の使い方に注意することです。
歯周病予防では、丁寧な歯磨きやフロス・歯間ブラシで歯の間の汚れを取り除き、定期検診で早期にチェックすることが大切です。
悪習癖の改善では口呼吸を鼻呼吸に切り替えたり、歯ぎしりにはマウスピースを使ったりすることで、歯や顎への負担を減らせます。
筋肉トレーニングでは、口を閉じて唇を突き出す、口角を上げてキープするなどの簡単な運動を毎日行うことで、笑ったときの歯茎の露出を抑えやすくなります。
まとめ
ガミースマイルは、笑ったときに歯茎が目立つことで見た目のコンプレックスや口腔トラブルを引き起こす可能性があります。
原因は生まれつきの歯の位置や歯冠の短さ、上唇の筋肉の発達、歯周病など多岐にわたります。
改善には歯冠長延長術や矯正、上唇粘膜切除術など、原因に応じた治療が有効です。
また、歯周病予防や悪習癖の改善、口周りの筋肉トレーニングで後天的な進行を防ぐことも重要です。
日常のケアと適切な治療で、健康的で自然な笑顔を維持できます。
ガミースマイルが気になっているという方は、まずは原因が何によるものか知っておきましょう。
お悩みの方は、お気軽に博多矯正歯科へご相談ください。
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