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ブログ

投稿日:2024.10.15

【表側矯正の症例】前歯の叢生・鋏状咬合~費用と期間が気になる~

こんにちは。博多矯正歯科KIITE博多院です。

 

今回も実際の患者様の口腔内写真を使用させていただき、どのように歯列矯正が進められているのかご紹介していきます。
(※患者様には前もってお写真使用の許可をいただいております。)
お口の中のお写真など苦手な方はご遠慮ください。

〈基本情報〉

【主訴】

・前歯の叢生

(その他:矯正中の痛みや期間、費用など)

【診断】

・左Ⅲ級咬合

・左右第2大臼歯シザースバイト

・右上第1小臼歯/右下第2乳臼歯/左上下第2小臼歯/左右上下親知らず 抜歯

→第2大臼歯がシザースバイトのため親知らず全て抜歯対象
→初診時顔面正中と上下顎正中のズレに大きな差がなかったので仕上がり若干のズレが生じることご説明(患者様ご了承)

【年齢】

20代女性

【抜歯部位】

・右上第1小臼歯

・右下第2乳臼歯

・左上下第2小臼歯(左下半埋伏)

【治療期間/定期的な調整回数】

2年5か月/29回

【費用】

¥1155000

【リスク・副作用】

歯肉退縮・歯根吸収・咬合の違和感

〈初診時所見〉

症例

正面の口腔内写真からみて分かるのは

  • ・上顎前歯の叢生※1
  • ・右上側切歯のクロスバイト※2
  • ・上顎左右第2大臼歯のシザースバイト※3

の3つが主に症状として挙げられます。

 

※1叢生

…歯の大きさと顎の大きさのアンバランスによって起こる重なり合った歯並びのこと。
原因として顎が小さいことや、歯が大きい、習癖などが挙げられる。
叢生のまま過ごしていると、歯磨きの際に細部までブラシの毛が行き届かず放置していると虫歯や歯周病の原因にまでなる。

 

※2 クロスバイト(交叉咬合)

…上顎の歯が内側に、下顎の歯が外側に位置しており部分的に反対のかみ合わせになっていること。
クロスバイトは叢生としても分類されるため放っておくと虫歯や歯周病の原因になる。
原因として上下顎成長のアンバランスや、骨格などの遺伝とも言われている。
クロスバイトのまま過ごしていると虫歯や歯周病のリスクはもちろん、顎や顔にまで歪みを与える。
また、咬み合わせが悪いため肩こりや頭痛など生じる可能性がある。

 

※3 シザースバイト(鋏状咬合)

…上顎の歯がより外側に、下顎の歯がより内側に位置し、上下の歯がすれ違っていて咬合していない状態のこと。
シザースバイトを放置すると、磨き残しによる虫歯や歯周病のリスクはもちろん
食べ物を食べるときに頬の粘膜を噛みやすい為口内炎が出来るリスクが高まる。

 

症例 症例

次に左右のかみ合わせを見てみると、左のかみ合わせがⅢ級咬合になっています。(カメラで撮っているので向かって右が左側・向かって左が右側です)

 

本来かみ合わせは大きく3つにわけることが出来ます。

  • Ⅰ級咬合:正常な理想的咬合
  • Ⅱ級咬合:上顎前突(出っ歯)※Ⅱ級咬合には1類、2類が存在します
  • Ⅲ級咬合:下顎前突(受け口)

 

叢生によって左右で咬み合わせが異なることがあります。
症例写真を参照にすると右のかみ合わせはⅠ級咬合ですが、左のかみ合わせはⅢ級咬合となっております。

症例 症例

 

最後に上下の咬合面を確認してみましょう。
上顎は右側切歯が内側に入り、叢生が確認できます。
歯と歯が重なっていると通常の歯ブラシの毛が届きにくく虫歯や歯周病のリスクが高まります。

 

下顎は左下第2小臼歯が半埋伏、通常右下第2小臼歯が存在する部分に乳歯が萌出しております。
どちらとも矯正抜歯を行うと診断されました。

〈治療計画〉

【装置】

表側矯正+矯正用スクリュー(TADs)埋入

【抜歯部位】

  • ・右上第1小臼歯
  • ・右下第2乳臼歯
  • ・左上下第2小臼歯(左下半埋伏)

 

カウンセリング時の患者様のご希望では、目立ちにくいマウスピース矯正のインビザラインや見えない矯正の裏側矯正でしたが、費用や期間などを考慮して患者様もご納得の上、表側矯正での治療を開始いたしました。
抜歯部位は矯正抜歯4か所、親知らず4か所の計8か所でした。
初診時から上下の正中が一致していたため、抜歯のスペースを閉じたときにズレがあった場合はIPR※を行う可能性があることもご説明し、ご納得いただきました。

 

※IPR

…歯と歯の間に隙間を作る処置。これを行うことでスペースを作り動かしたい方向に歯を動かす目的を果たす。

 

また矯正用抜歯があるため、上顎臼歯歯肉に矯正用スクリュー(TADs)を埋入するようになりました。
上顎は叢生があるため、それを取るためにも使用したく矯正開始前にTADsの埋入を行いました。
これら患者様と合意の上、表側矯正の治療が開始です。

〈治療開始時〉

症例

当院では表側矯正の場合、本来上下顎一度にブラケットの装着を行います。
今回の症例の場合、上下に分けて抜歯を行い、その予定日が離れていたため片顎ずつのブラケット装着となっております。

 

まず上顎からブラケットの装着を行いました。
右上中切歯が舌側に入りすぎているため最初の段階では敢えてブラケットの装着は行わず、そこ以外にワイヤーを通しています。
また左右臼歯部頬側歯肉にはブラケット装着前にTADsを埋入済みです。
下顎にブラケットを装着したのはここから4か月先でした。
この期間中にも1度ご来院していただき、上顎のワイヤー交換を行いました。

症例

下顎にブラケットを装着すると下顎のブラケットと上顎の歯がぶつかるため、上顎左右第二大臼歯の咬合面にバイトアップ(ブラケットに当たらないようにする高さ出し)を施し、ブラケットの脱離を防ぎます。

〈ブラケット装着から1年経過〉

症例

右上中切歯にようやくブラケットの装着を行いました。
とは言っても、まだ叢生が強く、フルサイズのブラケット装着は厳しかったのでハーフブラケットを使用しました。

 

主線となるワイヤーの下に細いワイヤーを二重にして通し、部分的に右上中切歯を動かしていきます。
右上中切歯以外はブラケット装着してから大分綺麗なアーチ状に並んできました。
右上中切歯が下顎の歯を乗り越えるまではこのままバイトアップが付いたままになります。
何故かと言うと、バイトアップがないと下顎が右上中切歯の動きを阻害する可能性があるからです。
そのためバイトアップに高さを足して、緩衝しないようにしています。

〈ブラケット装着して2年4か月経過〉

症例

細かな歯の角度などの微調整や、歯と歯の間にある小さな隙間を閉じるためにワイヤー矯正からマウスピース矯正へ移行する場合がございます。

 

こちらの患者様の場合、上顎の数か所に歯と歯の間の小さな隙間があったため、上顎のみマウスピース矯正で隙間を閉じるよう動かしていき、下顎はマウスピースで保定を行いました。

 

マウスピース矯正ではワイヤー矯正と違い、お食事やお水以外の飲み物を摂取する場合マウスピースを外すという行為が必要になるため特にワイヤー矯正に慣れていた患者様には頑張っていただきます。
また1日20時間以上(お食事と歯磨きの時間以外)はマウスピースを必ず着用していただくことで効果が発揮されるため一番患者様のご協力が必要となる歯列矯正になります。

 

これは保定装置のマウスピースを使用する場合にもお伝えさせていただいております。
矯正器具を外してすぐは特に後戻りがしやすく、簡単に歯が動くためしっかり保定装置を使用していただきます。

 

またマウスピース矯正ではアタッチメント(歯と同じ色をしたポッチのようなもの)を歯の表面に装着して歯を動かしていきます。
今回は上顎左右第一・第二大臼歯にアタッチメントを装着しました。
また今回は小さな隙間を閉じるためだけに使用してもらうため、枚数もかなり少なく1ターンで無事歯列矯正が終了しました。

〈歯列矯正終了(約2年5か月)〉

症例

約2年半で表側矯正とマウスピース矯正で終えました。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正のギャップなどもある中で歯列矯正に真摯に向き合っていただけたおかげで通常通りの期間で終わることができました。
その後虫歯治療なども行っていただくようお伝えし、保定期間に入りました。

〈まとめ〉

今回は表側矯正の症例ブログでした。
最後にはマウスピース矯正もご紹介しましたが、ワイヤーとマウスピースにどのような違いがあるのか理解していただけたでしょうか。
今後歯列矯正を行う場合、叢生を正しい歯並びに動かす目的はもちろんですが、ご自身のライフスタイルに合った歯列矯正を選択するお手伝いが出来ていたら嬉しいです。

 

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